『YOASOBI』ミューズクリップ(第1197号)特別インタビュー

2022年12月13日

※「MC」2022年10月10日発行(第1197号)『祝福』リリース時の特集記事を再掲載しています。
 
 
──『機動戦士ガンダム 水星の魔女』オープニングテーマ「祝福」は、シリーズ構成を手掛ける大河内さんがこの楽曲のために書き下ろした小説「ゆりかごの星」をもとに制作されたということですが、中心に据えたテーマについて、教えてください。
 
Ayase「いわゆる今回のアニメのプロローグ的な小説に加えて、実際のアニメの脚本や設定資料であったり、監督がどういった思いで作られているのかというのも、前もって資料でいただいていたんです。
 
それをもとに軸となるテーマを考えたときに浮かんだのが、“呪縛”というものでした。
作品内で、主人公のスレッタは母親から、ある種の呪いみたいなものがかけられている。
それは愛であって絆でもあると同時に、自分を縛りつけるものでもあるんだなと。
様々な呪縛から自分自身を解き放ち、新たな道を見つけて歩いていくにはどうしたらいいのか。
まわりの人はどう支えていったらいいのか。
そういったことをテーマとして意識しながら、曲を作っていきました」
 
ikura「曲のテーマに関しては特に事前に話し合いはせず、私はレコーディングに向けてしっかり準備していく、というのは、いつも通りでした。
 
音源を聴いて、もう一度小説を読み返したときに、原作からも、Ayaseさんが作った歌詞の中にも、主人公スレッタが置かれてきた状況、そこから解き放たれようとしている意志が感じられました。
 
その彼女の決意が見えていなければいけないなと思ったので、歌声を乗せるときも意識した部分ではあります。
実際にスタジオでも、「強い決心を持って飛び立っていくように」といったことを話し合いながら、レコーディングしました」
 
Ayase「今回、僕らの『祝福』はガンダムの目線で作った曲なので、力強いものでありながら、宙を舞うような軽やかさといった印象も全体として意識したところではありますね」
 
 
──ガンダムシリーズについて、それぞれどのような印象をお持ちですか?
 
Ayase「歴史のある、とても深い作品であることは間違いなくて、本当にたくさんのファンの方々に愛されている。
 
ガンダムの新しいシリーズが始まるという情報が出ただけで、相当の期待を寄せられているなと。
 
僕らもまだまだ新人ですから、「最近、耳にするYOASOBIってどんなものなのか?」という感じの印象を持たれると思うので、作品としっかり向き合って、僕らにできる最大限を尽くそうと思いました。
 
今までのガンダムとは違ったアプローチで、多くの人に触れてもらえる作品にしたいという制作側の思いを聞いているので、お力添えできたらいいなと」
 
ikura「今回は女性が主人公で学園ものという、比較的身近で共感しやすい設定なので、まだ触れていなかった人も作品に入りやすいのかなと思いました」
 
 
──曲が形になるまでに、一番苦労した部分というのは。
 
Ayase「曲のテーマや軸、曲の骨組みを作るところですね。
これはバランスの問題でもあるんですが、まずオープニング曲の頭サビからストーリーの核心につくような歌詞を入れるわけにはいかない。
 
一方で、回が進むごとに毎回聴く曲でもあるので、物語が進行していくにつれて感じ方が変わっていくようなものがいい。
逆に言うと、ガンダムのこと、今回の「水星の魔女」のことをテーマとしているというのが、わかりやすく張りついたものにはしたくなかったんです。
 
最初はふわっとした感じで聴いていたけれど、アニメが進んでいくにつれて、「なるほど、スレッタのこういう感情を表現していたのか」と歌詞の解像度が上がっていくような仕組みにするのが、アニメのオープニングとしていいんじゃないかなと思ったんです。
 
その構成に、一番時間がかかりましたね。
音やメロディーに関しては、感覚的な作業ですし、作詞に関しても、そこまでつまずいてはいないです」
 
 
──完全生産限定盤のCDにはYOASOBIコラボデザインのオリジナルガンプラも付属するそうですが。
 
Ayase「そんなことができちゃうんだ!? って驚きました。
音楽をやっていて、ガンプラとコラボができるとは思っていなかったので、シンプルにすごくうれしいです。
カラーリングはどうするか? みたいな打ち合わせに参加させてもらいました」
 
ikura「私も聞いたときは、「すごい!」って驚きましたし、光栄なことだと思いました。
実際に出来上がっていく過程を見させてもらっていたので、完成した写真を見たときも、めちゃくちゃ感動しました」
 
 
──来年4月~6月にはアリーナツアーが控えていますが、ツアーに期待していることは。
 
Ayase「今年はフェスにも出させてもらって、ライブの経験は着実に、少しずつ増えてはきています。
でも、アリーナでライブをやって、ワンマンで僕たちのことを観に来てくれるお客さんに会いに全国を回るっていうのは、はじめてですから。
YOASOBIが今後、ライブバンドとしてどういう進化を遂げていくかはまだまだ未知数なので、楽しみな部分は大きいです。
しっかりお客さんと交流して、実体験として共有していきたいですね」
 
ikura「フェスなども含めて、ライブは自分たちの楽曲を愛してくれる人たちに、ありがとうっていう気持ちを直接伝えられる場だなと実感してきました。
お会いできていないファンのみなさんもたくさんいるので、全国に会いに行けるのはすごくうれしい。
いろんなことに挑戦していきたいと話し合っています」
 
 
──お仕事以外で、最近楽しんでいることはありますか?
 
Ayase「最近パスタを作るのにハマっているんです。
僕、料理うまいんですよ。
センスあるなって自分でも思うくらい、美味しいんです。
レシピも動画も見ないで、感覚で作っていて。
ちょうど福岡で多めに辛子明太子を買ってきていたので、明太子クリームパスタとペペロンチーニを作ったら、お店クオリティでした」
 
ikura「自分の趣味ってなんだろう!? って今考えて、思い浮かんだのがお花です。
私は花瓶を集めるのが好きで、お花も1週間に一度変えるっていうのを継続しているので、ちょっとした趣味に入るのかなと。
あと、新しいスプラトゥーンをちょっとだけ」


 

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