「やっぱり愛着がすごいですね、純度100%のファンキー加藤の分身ですから。愛着ということで言えば、どうしようもなくいとおしい存在です。僕なりの、ファンキー加藤にしかできない新しさもあったり、ファンモンを経てきたからこそできた楽曲もあるし、聴いてもらえればきっとそこに希望が灯る、そういう1枚になっていると思います」
ファンキー加藤の1stアルバム『ONE』が完成した。昨年6月の東京ドーム公演で有終の美を飾ったFUNKY MONKEY BABYSの解散から1年3ヶ月後、ソロ・アーティストとしての新たな第一歩を刻む入魂の一作だ。ファンモン時代のどの曲をも上回る、オリコン・ウィークリー初登場3位を記録したソロ・デビュー曲「My VOICE」をはじめ、「輝け」(「カルピスソーダ」新CMソング)、「太陽」(日本テレビ系ドラマ「ST赤と白の捜査ファイル」主題歌)と3枚のヒット・シングルを収録し、新曲を加えた全13曲。ファンに向けて手紙を書くように歌詞を書いたという「My VOICE」を筆頭に、応援歌と呼ばれたファンモンのスタイルを受け継ぎながら、彼自身がこの1年間で考えたことをそのまま言葉にした、よりパーソナルで親しみやすい歌がずらりと並んでいる。
「自分のすべてを吐き出すというか、そこに嘘がないアルバムにしたいなという思いはありました。もちろん聴いてくれる人がどう思うかが第一前提としてありながら、ちゃんとそこに僕という人間がいる。そういう意味ではとてもパーソナルな、「My VOICE」の延長なのかなというところはありますね。ファンモンの時も実体験の曲は多かったですけど、曲によっては想像上の何かだったり、自分以外の誰かが歌ってるような曲もあったんですけど、今回の1stアルバムに関しては、間違いなく自分自身が歌う歌にしたいなと思ってました」
アルバムは、「My VOICE」のカップリングだったキレのいいアップテンポの「リスタート」から始まる。曲調は明るめだが、“ろくでなし? それとも身勝手? 君にはどう見えたの?”という問いかけから始まる歌詞は、ファンモンからソロへ移行する間の心の葛藤をそのまま表したもの。3曲目「終わらない未来」もそうで、“大丈夫、まだ終わってない”という言葉は、“ファンモンレス症候群”に苦しんでいたという東京ドームライブ翌日の6月3日の自分を振り返って書いたもので、5曲目「My VOICE」までのアルバム前半は、赤裸々な言葉使いとダンスミュージックの要素を取り込んだメロディアスなサウンドが合体した、ファンキー加藤の新しいスタイルがよく見える。
中盤に登場する「まわせ!」はいかにもライヴ向けに作られた、軽快なスカのリズムを持つ明るい曲。「愛の言葉」はしっとりとしたラブソングで、「僕らの詩」は壮大な風景が見えてくる。得意のシモネタ系言葉遊びを駆使したダンスチューン「Good Show」は、ファンモン時代の「アワービート」「Say! Joy!」に連なる、ライヴでの大爆発が目に浮かぶ強力なナンバー。このあたりは、ファンモン時代に得意としていた要素をブラッシュアップしたような、心地よく楽しめるパートだ。
さらに後半になると、起承転結をつけたストーリー運びが面白い「もっと勉強しておけばよかった」や、メロディよりも歌詞を先に書く“詞先”と呼ばれる方法を初めて試した「桜 ふわり ふわり」と、言葉の面での新たな挑戦を披露。ラストは「FLY」(フジテレビ系「めざましテレビ」デイリーテーマソング・水曜日)で、爽快感いっぱいの曲調と歌詞で、明るくアルバムは幕を下ろす。
「とにかくカラフルな1枚にしたいなという気持ちはあったので、四つ打ちや、もっと柔らかいものや、スカっぽいものや、バランスよく作りました。それはファンモンでやってきたことの延長上にあると思います。そこにロックっぽさがちょっと追加されてるのが、ファンキー加藤ならではなのかなというところはありますね」
9月19、20日の日本武道館公演のあと、来年1月からは全国38ヶ所42公演に及ぶ大ツアーもスタート。ファンモンのスタイルを変えずに、ソロならではの新鮮さと深みを出すことに成功したファンキー加藤の新たな旅立ちは、決してリスナーを裏切らないあたたかく包容力あふれるものになるだろう。
取材/文:宮本英夫
NEW ALBUM
『ONE』
9/3 ON SALE
【初回生産限定盤A】CD+DVD:MUCD-8057/8 \5,000+税
【初回生産限定盤B】CD+DVD:MUCD-8059/60 \4,000+税
【通常盤】CD:MUCD-1302 \2,900+税
① リスタート <日産自動車「日産セレナ」CMソング>
② 輝け <「カルピスソーダ」新CMソング>
③ 終わらない未来
④ 太陽 <日本テレビ系水曜ドラマ『ST赤と白の捜査ファイル』主題歌>
⑤ My VOICE
